「医療脱毛って何回通えばいいの?」
カウンセリングに行くと「5回」「9回」果てには「12回」コースなんて出てきて、
一体何を基準に選べば良いの!って思いませんか?
先に結論を言っておくと、
「脱毛が完了する回数」は部位と個人差によって異なるので、
「○回で終わる」とは言い切れません。
さらにややこしいのが、
患者さんがイメージする「完了」とクリニックが言う「完了」が、
そもそも違うという問題もあります。
この記事では、元医療機器営業・全身脱毛を9軒ハシゴした私が、
海外の査読済み論文をもとに部位別の目安回数と減毛率の推移を整理しました。
後半では、論文の数値と私の実体験を部位ごとに比べてみました。
(ほとんどの部位で10回以上かかっています)
「まだ検討中」の方にも「今まさに通院中」の方にも、
通う『回数』の目安を自分で選べるようになってもらうのがゴールです。
なぜ何回も通う必要があるのか:毛の成長サイクルが理由
まず前提として知っておいてほしいのが、
クリニックが「完了」と呼ぶのは「自己処理が楽になるレベル」であることが多く、「シェーバーが一切不要なつるつる状態」とは異なります。
この認識のズレが、「思ったより回数がかかる」と感じる原因のひとつです。
では、なぜそもそも何回も通う必要があるのでしょうか。
答えは毛の成長サイクルにあります。
毛が生えるサイクルは3段階ある
髪の毛も体の毛も、一定のサイクルで生え変わっています。

- 成長期(anagen):毛が活発に伸びる時期。毛包にメラニンが豊富で、レーザーが最も効きやすい
- 退行期(catagen):成長が止まり、毛包が縮小し始める
- 休止期(telogen):毛が抜け落ち、次の成長期まで待機する
レーザーが反応できるのは「成長期」の毛だけ
医療脱毛のレーザーは、
毛の根元にあるメラニン(黒い色素)に反応して熱を発生させ、
毛包にダメージを与える仕組みです。
ただし、メラニンが多く集まっているのは成長期の毛根だけ。
退行期・休止期の毛はメラニンが薄くなるため、
レーザーが反応しにくい状態になっています。
つまり、レーザーは成長期にある毛にしか効かないのです。
一度の施術では生えている毛の一部にしか効果が出ないため、
何回も通う必要があります。
成長期の毛の割合は部位によって大きく異なる
成長期にある毛の割合は部位によって異なります。
顔は約65%が成長期にあるのに対し、
脇やVIOは約30%、脚はさらに少なく約20%とされています
(Lepselter & Elman, J Dermatol Treat. 2004)。
成長期の割合が低い部位ほど、
一度の施術で反応できる毛が少ないため、
より多くの回数が必要になります。
何回目でどう変わるか
回数を重ねるごとに、どのくらい毛が減るのでしょうか。
複数の臨床研究データをもとにした概算の目安を整理しました。
アジア人は西洋人より効果が感じにくいため、
この表の中間あたりを目安にすると現実的です。
以下は複数の臨床研究データをもとにした概算の目安です。
使用するレーザー機器・毛質・部位・個人差によって大きく異なります。

出典:グラフの減毛率(1回10〜40%・3回30〜70%・繰り返しで最大80〜90%)はLepselter & Elman(J Dermatol Treat. 2004)より。
なお同論文の数値は色白・黒髪という条件でのデータです。
アジア人皮膚(Fitzpatrick III〜V)ではやや効果が出にくい傾向があり、
1回32%・3回55%という報告もあります(Hussain et al., Dermatol Surg. 2003)。
また「6回施術後56%」はMittal et al.(J Cutan Aesthet Surg. 2008)の数値ですが、
これは「産毛化に成功した割合」であり、グラフの減毛率とは定義が異なります。
「永久脱毛」という言葉の正体
クリニックの広告でよく見かける「永久脱毛」という言葉。
実は医学的・FDA※の正確な表現は「永久減毛(permanent hair reduction)」です。
複数の論文で「完全除毛のエビデンスは現時点で存在しない」と明記されており
(Haedersdal & Wulf, JEADV 2006)、
「毛を完全にゼロにする」とは定義されていません。
「大幅に減らして、生えてくる毛を細く・少なくする」のが正確な理解です。
部位ごとの回数の目安
次に、部位別の成長期割合と推奨回数の目安をまとめます。
以下の数値は、Lepselter & Elman(J Dermatol Treat. 2004)
のTable 1および複数の査読済み論文をもとにした目安です。
毛質・肌色・使用機器・クリニックの出力設定・個人差により大きく変わります。
| 部位 | 成長期の毛の割合 | 自己処理が楽になる目安 | 自己処理がほぼ不要になる目安 |
|---|---|---|---|
| 顔(上唇・あご) | 約65% | 3〜4回 | 5〜6回 |
| 脇 | 約30% | 4〜5回 | 6〜8回 |
| VIO(ビキニライン) | 約30% | 4〜5回 | 6〜8回 |
| 腕 | — | 5〜6回 | 8〜10回 |
| 脚 | 約20% | 5〜6回 | 8〜10回 |
※顔の数値は女性の産毛・口周り・あご下を想定しています。男性のひげは対象としていません。
「3〜7回」という数値は232名を対象にしたRCT(ランダム化比較試験)で、
最適な結果に達するまでに要した回数の範囲です。
(Toosi et al., Lasers Med Sci. 2006)
脚は成長期が長い分、長期的な脱毛率は高くなる傾向があります。
(Krasniqi et al., J Cosmet Laser Ther. 2022)
脇とVIOが同じ回数目安なのは、
成長期にある毛の割合がどちらも約30%と同程度であるためです。
腕の成長期割合については、
今回確認した論文に直接的な数値の記載がなかったため「—」としています。
私の経過——実際は論文より多くかかった
私が全身脱毛を始めたのは30代前半・2016年頃、
完了したのは2020年頃で30代半ばになっていました。
部位によっては10〜12回通い、費用は50万弱かかりました。
脇・VIO・ひざ下: 都度払い+後にコース 計11回程度
腕・二の腕: 都度払い+6回コース+3回コースを追加 計12回程度
背中・うなじ・太もも: 9回コース+3回コース追加 計12回程度
顔: 都度払い 計5~6回程度
腕と脚は減ってきたと実感するのに時間がかかり、
5・6回を過ぎても「あと何回かかるんだろう」と不安に感じていました。
一方で顔と脇は比較的早く、3回目ごろからかなり減ってきたのを実感しました。
回数がかかった理由
脱毛器の選択
初めて脱毛したのはひざ下、次いでVIOと脇でした。
痛みが怖くてたまらなかったため、
当時「痛くない」と言われていた吸引式ダイオードレーザー(ライトシェアデュエット)を選びました。
この吸引式は、吸引で正面に当たっている部分しか照射できないため、
うち漏れを防ぐにはかなり重ねうちが必要です。
しかし、私は重ねうちをしっかりしてもらった実感がありませんでした。
すねや骨に近いところは吸引式ではなく通常のダイオードハンドピースを使うべきなのですが、
看護師さんに頼まないと対応してもらえないクリニックもありました。
この情報、実は医療機器の仕事をしていた頃にメーカー担当者から直接聞いたものなんです。
5回を過ぎても効果の実感が薄く、
メーカー側のプロトコルが知りたくて聞いてみたところ、
自分がそんな風にやってもらっていなかったことが判明して、かなりショックでした。VIOのOなんて吸引1回でおしまい、という看護師さんもいましたし…。
その後、毛量が減って痛みに耐えられると判断し、
アレキサンドライトレーザーのあるクリニックに変えてから、
効果の実感が大きく変わりました。
毛量の違い
私はいわゆる「濃い」タイプで、みっしりと毛が生えていました。
そのため、うち漏れをされるとその部分がしっかり目立って残ってしまうんです。
正直なところ、うち漏れを100%避けることはできないと思います。
個人的には8〜9割当たっていれば良いぐらいでしょうか。
毛量が多い人はこうした点も踏まえて、
回数を多めに見積もっておくと良いかもしれません。
痛みへの対処と、私が10回以上通って思うこと
痛みに弱い場合、ダイオードレーザー(吸引式や蓄熱式)は有力な選択肢です。
あるいはアレキサンドライトの出力を下げてもらうという方法もあります。
ほとんどの部位で10回以上通いましたが、
痛いのが嫌だった私にとっては、
この回数は必要なプロセスだったと今は思っています。
論文のデータはあくまで数値上の参考値でしかありません。
機器の種類・施術者の技術・出力・毛量・ホルモンバランス…。
回数が変わる要因を挙げればキリがありません。
だからこそ、こうした実態を頭に入れた上で相談に臨むと、
より実用的な質問ができると思いますよ。
まとめ

日本には医療脱毛の統一ガイドラインがなく、
クリニックごとに推奨回数の見解が異なります。
また、人種・ホルモンバランス・肌タイプによって効果は変わるため、
論文間でも毛周期のデータにばらつきがあります。
今回、海外の査読済み論文を中心に採用したのは、
臨床データの蓄積が多かったためです。
白人・アジア人を対象とした研究も含めて調整しましたが、
あくまでデータはデータ。
個人差が最も顕著に出るのが「回数」です。
ただ、この記事を読んだことで、自分のゴールをどこに設定するか、
確認すべきポイントは見えてきたのではないでしょうか。
少なくとも「春に始めて、この夏はツルツルだわ!」は残念ながら夢物語だとご理解いただけたかと思います。
私個人としては『シェーバーを二度と買わない』レベルを目指していましたが、
もしそこまで目指す場合は、
最初からコースを組む心づもりで臨むのがおすすめです。
痛みに弱い場合は機器や出力の相談を、
毛量が多い場合は回数を多めに想定しておくと、
より現実的な計画が立てやすくなります。
目指すゴールと自分の状況を正直に伝えると、
クリニック側も「うちではだいたいこのくらいかかります」と教えてくれますよ。
次の記事では施術間隔について詳しく解説します。
施術間隔を適切に設定することは、
結果的に無駄打ちを防ぎ、トータルの回数節約にもつながります。
ぜひ合わせて読んでみてください。
※FDA(Food and Drug Administration):アメリカの食品・医薬品・医療機器を管理する政府機関。日本の厚生労働省に相当する組織で、医療機器の安全性・有効性の基準を定めています。
参考文献
| 著者 | 論文・資料名 | 掲載誌・機関 | 識別子 |
|---|---|---|---|
| Vaidya T et al. | Laser Hair Removal | StatPearls (NCBI) | NBK507861 |
| Hoover E et al. | Physiology, Hair | StatPearls (NCBI) | NBK499948 |
| Lepselter J, Elman M | Biological and clinical aspects in laser hair removal | J Dermatol Treat. 2004;15:72-83 | DOI: 10.1080/09546630310023152 |
| Toosi P et al. | A comparison study of the efficacy and side effects of different light sources in hair removal | Lasers Med Sci. 2006;21(1):1-4 | PMID: 16583183 |
| Krasniqi A et al. | Efficacy of lasers and light sources in long-term hair reduction: a systematic review | J Cosmet Laser Ther. 2022;24:1-8 | DOI: 10.1080/14764172.2022.2075899 |
| Haedersdal M, Wulf HC | Evidence-based review of hair removal using lasers and light sources | JEADV 2006;20:9-20 | DOI: 10.1111/j.1468-3083.2005.01327.x |
| Hussain M, Polnikorn N, Goldberg DJ | Laser-Assisted Hair Removal in Asian Skin | Dermatol Surg. 2003;29(3):249-254 | PMID: 12614418 DOI: 10.1046/j.1524-4725.2003.29059.x |
| Mittal R et al. | Evaluation of Long-pulsed 1064 nm Nd:YAG Laser-assisted Hair Removal | J Cutan Aesthet Surg. 2008;1(2):75-79 | PMCID: PMC2840900 |
【免責事項】本記事に掲載している数値は、臨床試験・系統的レビューから得られた統計的中央値または平均値です。個人の毛色・皮膚色・ホルモン環境・部位・使用機器により実際の結果は大きく異なります。完全な脱毛効果を保証するものではありません。
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